Puricee's daily

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「アンダーカヴァー」誉田哲也

誉田哲也さんが書いた短小説「インデックス」の1つ目の話。(姫川玲子シリーズ)

 

 

 卸問屋の社長が、血縁関係にある3人で構成された詐欺グループである商社に騙され、自殺に追い込まれてしまう話。

 名門大学を卒業し、大手商社に務めていた主犯格の男がなぜ詐欺などをしているのか疑問に思う主人公。取り調べで主犯格の男は、「人生はゲームだ。上手く行こうがいかまいが人はいずれ死にゲームオーバーとなる。子供がやるテレビゲームと同じ原理だ。自殺した社長は金という負債に負けて自らゲームオーバーになっただけだ。」と持論を用いる。

 これに対し主人公は、「個人の価値観はそれぞれだけど社会的にはルールというものが存在する。魚が水から上がっては生きられないように、人間という生き物は社会の中でしか生きられない。ブランド品など、下手な片意地を張らない方が何倍も楽に、自由に生きられる。」と言った。

 

<私見>

 この最後の取調べのシーンが印象的だった。主人公が犯人に対し、「あなたも早くこっち側にいらっしゃい。」などと犯人の考えを完全に否定するのではなくこちら側に引き込もうとしているところだ。その後犯人は無言となってるため、主人公の考え、その伝え方は警察としてではなく、人の心理に入り込むような力があり、頑なに変化しない犯人をも揺らがせることが人として大事な能力だなと感じた。